顔面神経麻痺(3)の仕組み
顔面神経麻痺を発症すると、顔面の罹患ということで誰でも慌てることでしょう。しかし、実際にどういう仕組みが起きているのかを正しく理解していないと、心配だけでは、対処もできません。前回も少し触れましたが、もう一度、その機序を整理したいと思います。
まず、罹患の時点です。右か左の耳の付近に集まった顔の半面の神経が集まった部分をヘルペスウィルスが侵すことにより、その神経に炎症が起きて、その機能を阻害し始めます。炎症が起きるので、周囲が腫れたり、痛んだりといった症状が出始めます。
治療の開始は、この時点で可能なのですが、普通の風邪の症状など、または歯の痛みとか、いろいろな要素が絡んで、その判断が遅れます。そうやって、神経の機能が損なわれて、顔面神経麻痺を発症してしまうのです。
治療は、主にストロイドの投与で、炎症を抑えます。最近は、ヘルペスウイルス感染症の発症抑制の薬も処方される様ですが、神経が損傷を受けた後だと効果も限定的だといえるかもしれません。神経が損傷したので、その修復の治療を期待されるかもしれませんが、現時点でも効果的な薬は開発されていない様です。神経修復効果の薬として、ビタミンB12が処方されている様です。ビタミン剤ということです。
発症した後は、その症状から来る二次被害に備える必要があります。一番の想定被害は、瞼開閉の機能不全による、角膜の乾燥が問題となります。不用意に乾燥させて、角膜損傷による失明ということにもなります。起きている間は、気になりますし、何とかなるかも知れません。しかし、特に寝ているときに乾燥しないように注意が必要です。一般的には、眼帯をして寝る必要があります。パッチ型の方が外れなくて安心かも知れません。二重にするのもより良いかもしれません。
その他、口の動きが不十分で食べ難いとか、食べ物をこぼしたりの症状もあるでしょう。眼帯使用により、遠近感の問題も出てきます。自動車運転などは、気をつけましょう。また、表情がぎこちなくなることも、生活の上では支障が出てくるかもしれません。
この時点での関わる体の状態を整理するといくつかに整理ができます。まず、顔面神経そのものが損傷を受けている点。影響は、上記の通りに顔面の動作に直接作用します。瞼をはじめ、動かないことから来る不便、危険が伴います。さらに、顔面の筋肉自身の問題。動かないために、血流が少なくなり、最悪は壊死に繋がる損傷を生む可能性もあります。また、長期に渡るので、筋肉の委縮にも気をつけないといけません。
では、具体的に何が必要でしょうか。次回につづく。
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