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2017年11月

2017年11月27日 (月)

顔面神経麻痺(3)の仕組み

 顔面神経麻痺を発症すると、顔面の罹患ということで誰でも慌てることでしょう。しかし、実際にどういう仕組みが起きているのかを正しく理解していないと、心配だけでは、対処もできません。前回も少し触れましたが、もう一度、その機序を整理したいと思います。
 まず、罹患の時点です。右か左の耳の付近に集まった顔の半面の神経が集まった部分をヘルペスウィルスが侵すことにより、その神経に炎症が起きて、その機能を阻害し始めます。炎症が起きるので、周囲が腫れたり、痛んだりといった症状が出始めます。
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 治療の開始は、この時点で可能なのですが、普通の風邪の症状など、または歯の痛みとか、いろいろな要素が絡んで、その判断が遅れます。そうやって、神経の機能が損なわれて、顔面神経麻痺を発症してしまうのです。
 治療は、主にストロイドの投与で、炎症を抑えます。最近は、ヘルペスウイルス感染症の発症抑制の薬も処方される様ですが、神経が損傷を受けた後だと効果も限定的だといえるかもしれません。神経が損傷したので、その修復の治療を期待されるかもしれませんが、現時点でも効果的な薬は開発されていない様です。神経修復効果の薬として、ビタミンB12が処方されている様です。ビタミン剤ということです。
 発症した後は、その症状から来る二次被害に備える必要があります。一番の想定被害は、瞼開閉の機能不全による、角膜の乾燥が問題となります。不用意に乾燥させて、角膜損傷による失明ということにもなります。起きている間は、気になりますし、何とかなるかも知れません。しかし、特に寝ているときに乾燥しないように注意が必要です。一般的には、眼帯をして寝る必要があります。パッチ型の方が外れなくて安心かも知れません。二重にするのもより良いかもしれません。
 その他、口の動きが不十分で食べ難いとか、食べ物をこぼしたりの症状もあるでしょう。眼帯使用により、遠近感の問題も出てきます。自動車運転などは、気をつけましょう。また、表情がぎこちなくなることも、生活の上では支障が出てくるかもしれません。
 この時点での関わる体の状態を整理するといくつかに整理ができます。まず、顔面神経そのものが損傷を受けている点。影響は、上記の通りに顔面の動作に直接作用します。瞼をはじめ、動かないことから来る不便、危険が伴います。さらに、顔面の筋肉自身の問題。動かないために、血流が少なくなり、最悪は壊死に繋がる損傷を生む可能性もあります。また、長期に渡るので、筋肉の委縮にも気をつけないといけません。
 では、具体的に何が必要でしょうか。次回につづく。

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2017年11月17日 (金)

顔面神経麻痺(2)発症のその後

 13年近く前の経験談の続きです。
 顔面神経麻痺は、顔面の筋肉の動きに携わる神経の病気です。これらの神経は、左右別々に左右の耳の辺りから出てきて、左右の顔面に広がります。この耳の部分に集まった神経の周辺でヘルペスウィルスが炎症を起こして、神経を損傷して発症します。
 この損傷した神経は、脳神経と同様に自ら再生することはありません。再生されるのは、代替神経なのです。軽傷で神経そのものの損傷が少ない場合は、予後は極めて良好で治療も殆ど必要ないと言われています。しかし、私の場合は、発症から実質2日以上も放置したので、そういう観点から見れば重症だったと言えます。
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 治療は、原則として、消炎の後はリハビリです。私の場合も、火曜日に診察を受けて、内服ステロイドを処方されてから、暫くはすることはありません。リハビリの開始を待つ期間が結構長く続きました。ただ、一つ気を付けない重要なことが有ります。
 顔面神経麻痺は、顔の左右どちらかの半面全体の筋肉が動かなくなります。口は半分動くので、食事は不便してもなんとか出来ます。問題は、です。瞼の働きは、単に目の開け閉めではありません。瞬きをすることにより、目の乾燥を防ぎます。一番影響が大きいのが、寝ている間。瞼が閉じないまま、一晩中寝ていたら、角膜部分が乾燥します。そうしたら、一気に失明の危険に晒されます。だから、如何に目を乾燥させないかが一番の治療となります。
 そういうことで、目を覆う自己治療が始まりました。普通の眼帯も有用です。しかし、当時から張り付けるタイプの眼帯がありました。目の周りを囲う様に粘着剤が付いたシール状の眼帯です。帯状では無いので、眼帯というより、目シールといった感じでしょうか。
 私は重症だったと思うと書きましたが、全ての神経が損傷を受けた訳では無かったようです。少しづつ、顔の筋肉は動き出しました。そう、1ヶ月程だったでしょうか。その内に、眼帯も不要となりました。
 1ヶ月目頃の状況です。瞬きは、特に問題はありません。食事をする時に、口の左側の開閉が充分でなくて、口に入れるのに多少は苦労する。食事をすると涙腺が刺激されて涙が流れる。口が完全に閉じないので、身体検査の肺活量測定では、手で押さえないと測定できない。そういう状況でした。
 しかし、それからが長い戦いでした。一般には、3ヶ月程度で回復と言われています。しかし、私の場合は、6ヶ月経っても、1ヶ月目の症状が続いていました。それから数か月目の事、ある機器に巡り合いました。その機器は、東海大学病院で使っていた、リハビリ機器と同じ機能のものでした。続くと言いたいところですが、その前に。
 この記事は、今後暫く続きます。最後まで読んで頂きたいと思っています。そういう意味で、重要な事が後半に出てくるかもしれません。(まだ、ストーリーとして私の頭の中で完成していないという意味です。) だから、罹った方が何かをしようとして参照される場合は、最後まで読んでいただきたいと思います。中途半端な情報での処置は、少し危険かもしれません。心配な方は、是非、ショップの問合せコーナーから問合せください。

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2017年11月13日 (月)

顔面神経麻痺(1)の経験

 10月の中旬に顔面神経麻痺に罹った方から、相談のメールが届きました。ロハスWebショップの挨拶のページで、私の経験と処置を少しだけ説明していたからでした。その方は、幸いにも予後がよく、回復に向かっているとのことでした。良い機会ですので、体験談からいろいろと紹介したいと思います。まずは、体験談。
Photo  時は、2005年2月19日土曜日。左耳の付近がなんとなく痛い。しかし、普通の風邪とは少し違った感じを受けていました。その日は、姪が訪ねてくれていて、用事が終わったので、車で都内に送っていきました。姪は一人暮らしだったので、夕食を一緒に頂いて帰宅しました。高速を使っても片道1時間半程度の道程でした。このタイミングで身体の静養が必要だったと後で分かりましたが、後の祭りです。さらに続きます。
 翌日の日曜日は、夕方から顔に腫れが生じ、そこで初めて麻痺した感じを受けました。しかし、翌朝は月曜日。私が準備した資料を会議の席で説明しないといけない。仕方が無いので、翌朝の出勤は予定通りとしました。これが2つ目の間違いでした。
 午前中の会議が終わってから、医務室に行くと顔面神経麻痺で、早急な診察が必要とは言われたのですが。その後の通院を考えると自宅近くの大きな病院が良いと、看護師が勧めてくれました。更に、半日間、治療開始が遅くなりました
 翌日の火曜日、休暇を取って東海大学に向かいました。受付けで、問診を受けます。既に、顔面神経麻痺の症状が出ていて、明らかでした。そうして、耳鼻科の診察が始まりました。
 当日の所見は、原因不明の顔面神経麻痺です。原因としては、ヘルペスウィルスが原因内因性(脳などの中枢神経に障害)の2つしかありません。結局、ヘルペスウィルスが原因であることは間違いありません。処方は、決まっていて、ステロイドの内服薬です。
 この顔面神経麻痺は、私が小学校の頃に私の父も掛かったことがあります。当時から、この病気は、顔面神経痛という言い方をしていました。自分も麻痺だと言いたくないので、顔面神経痛という言い方を始めはしていました。治療を初めて、いろいろと調べるとまったくの間違いだと分かってきました。続く・・・

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